出口の現代文レベル別問題集1 超基礎編 改訂版 (東進ブックス レベル別問題集シリーズ)

出口の現代文レベル別問題集1 超基礎編 改訂版 (東進ブックス レベル別問題集シリーズ)の詳細

前の担当者からの引継ぎなどで家庭教師先に用いています。今回はこのレベル1となっていますが、実はこの種の段階別教本は、最初のほうの級のものが案外充実であり、あとになるほどその一環的な応用となってくるので、方法論そのものに習熟したければ、初級近辺を用いるに越したことはないでしょう。現代文科目の特質といえば、やはり言語活動の客観化ということのようで、ことばを意識的に読み、書き、感じ、話し、また聞く（聴く）という知的営みの中から、徐々に正答を選べるようになってくることを仮にも進歩とするならば、本テキスト（問題集）で国語力をある程度伸ばすことは可能だと思います。本書の特徴の一は、評論文、随筆（エッセイ）、小説に便宜上区分してはいますが、読み方また設問への答え方の点ではむしろ一貫しており、論旨把握＋文脈理解に尽きるでしょう。さらに文章じたい精選されているため、まずは読み物として飽きが来ないタイプの内容を備えた文章が掲載されている点、従来あまたある文章（既に出題済みのものも多々ある）また関連する文章を典拠として、リーズナブルかつオーソドックスな読み方を講義・指南するものなので、全体の印象は良好ですが、個人差もあるので、部分的な説明がやや淡白かにも思えます。しかし、正答を選ぶ（または記述する）ためだけに限れば、必要十分なデータと考えうるので、残りはむしろ補足的な知識となるべきものでしょう。利用方には、ぜひ本書をうまく活用して正統的かつ応用の利く読解力を伸ばしていただけたら、と願ってやみません。